1年目より2年目、2年目より3年目と、自らの成長を実感しながら経験を重ねてきた山本歯科医師。4年目の昨年度は保険診療の比率を自由診療が上回り、さらに5年目には、担当する200~300人のうち自由診療の患者さんが約7割を占めるまでになりました。「以前は歯を残すための治療に主軸を置いていたのですが、この1年は歯を失った方のための治療、例えばインプラントや入れ歯などに幅広く対応できるようになったことで、結果的に自由診療の比率が上がりました」と、自らの成長を語ります。同じ治療をよりスピーディーにこなせるようになったこともあり月間の平均売上額も4年目の約1.5倍にアップ。医院経営への貢献度も着実に高まっています。
一方で、患者さんを見る目も深まったといいます。「お口の中を治療したあと、それがうまく機能しているかということにとどまらず、行った治療が全身の健康づくりにつながっているのかを必ず確認するようになりました。さらに、その方の生活がどう変わるのかまで把握する努力を続けています」と山本歯科医師。海老名市独自の事業である「オーラルフレイル健診」に積極的に取り組んできたのもそのためで、「患者さんにご自分の口腔の健康度を知っていただき、治療やメンテナンスをすることでよく噛めるようになってしっかり栄養がとれる、元気になって外出の機会が増える、認知機能の低下を遅らせることができるなど、さまざまな効果を共有できるのは、歯科医師としてもうれしいです」と話します。
「口腔の状態を良くすることがいかに大切かを患者さんに理解していただくことはとても重要です」と山本歯科医師は強調します。「悪いところだけ治してほしい」「とにかく痛みをとってほしい」と訴えるなど、歯科医院を「歯が悪くなったら行くところ」ととらえている人はまだまだ多いといわれています。しかし、そうした人の要望に応えるだけでは、歯科医師としての役割を十分果たしたとは言えないと考える山本歯科医師は、どんな患者さんにもできるだけわかりやすくメンテナンスの重要性を語り、口腔全体の状態を良くする治療計画を提案するようにしています。熱心に説明すると、大半の人が納得して通院してくださるようになるとか。「特に、コロナ禍にあるここ2年ほどで健康の重要性を再認識した人は多く、お口の健康を保ちたいという患者さんのニーズは高まっていると感じる」そうです。
この3月にはベル歯科医院の5年プログラムを修了し、4月以降は一人前の一歯科医師としてベル歯科医院に勤務します。今後は、これまでに身につけた高い診療技術にさらに磨きをかけながら、医院経営やスタッフ教育のノウハウを学んでいく考え。歯科医師になったときからの目標である開業に向けて、ベル歯科医院での修行はまだしばらく続きそうです。
2021年12月インタビュー